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福岡地方裁判所 昭和49年(わ)549号 判決

本店所在地

福岡県北九州市小倉北区日明五丁目四番五号

竹本工業株式会社

右代表者代表取締役

竹本勝憲

本籍

福岡県北九州市小倉北区大字中井一、二三四番地

住居

同区中井一丁目四番二二号

会社役員

竹本勝憲

昭和七年七月一五日生

法人税法違反被告事件

検察官

村上恵美子出席

主文

被告人竹本勝憲を懲役三月に、被告人竹本工業株式会社を罰金二〇〇万円に処する。

被告人竹本勝憲に対し、この裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社竹本工業株式会社は、昭和四六年一二月一日までは有限会社竹本工業所と称し(同日、竹本工業株式会社に組織変更)、同年一二月一二日までは福岡県北九州市小倉区日明殿町六組二、五〇五番地(同年六月二四日、同区大字板櫃二、五〇五番地に更正)に、同年一二月一三日以降は、同市小倉区日明五丁目四番五号に本社を置き、株主として中外炉工業株式会社からの発注による炉殻製造等の事業を営むもの、被告人竹本勝憲は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を総括しているものであるが、同被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和四五年九月一日から昭和四六年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三六、二三八、〇九一円でこれに対する法人税額が一二、八七〇、八〇〇円であるのにもかかわらず、公表帳簿に外注費を架空計上し、右中外炉工業からの受注工事の支給材から発生したスクラツプの売却収入及び被告会社の下請業者に売却した消耗工具の売却収入を除外し、従業員の給与額を水増し計上するなどの不正の手段により、その所得を秘匿したうえ、同年一一月一日、同市小倉区萩崎町一番一〇号所在の小倉税務署において、同署署長に対し、所得金額が五、五二九、九一八円で法人税額が一、五四二、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の正当な法人税額との差額一一、三二七、九〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告会社代表者兼被告人の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する供述調書

3  大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、藤原圭子、中村郁雅、谷本照重、有松実、庄崎チヨ子、中野正夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、中村郁雅、中道順一外一名、中野靖、安川寛各作成の各上申書

一、被告会社代表者兼被告人外一名作成の各上申書および確認書

一、被告会社代表者兼被告人外二名作成の各上申書

一、川瀬和、松原忠実、岡村正男、堀池亀生、藤沢正雄、植山俊彦、石松利重、田中芳輝各作成の各証明書

一、国税査察官作成の法人税法の犯則けん疑者竹本工業株式会社が支払つた外注費の支払先についてと題する書面

一、岐部忠広作成の取引に関する上申書と題する書面

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書

一、大蔵事務官作成の各現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一、検事および検察事務官各作成の各電話聴取書

一、登記官作成の登記簿謄本および閉鎖登記簿謄本

一、福岡法務局北九州支局長作成の登記申請書謄本

一、押収してある

1  印鑑(ケース付)一個(昭和四九年押第二一八号の一)

2  印鑑一七九個(同号の二、三の一および三、四の一)

3  ゴム印三個(同号の三の二および四、四の二)

4  法人税決議書一綴(同号の五)

(法令の適用)

一、被告人竹本勝憲の判示所為は法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で同被告人を懲役三月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予し、

二、被告会社については、その代表者である被告人竹本勝憲が同会社の業務に関して前示の違反行為をしたものであるから法人税法一六四条一項に従い同法一五九条一項の罰金刑を科することとし、その所定金額の範囲内で被告会社を罰金二〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 矢野清美)

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